新型コロナウイルス心臓後遺症専門外来について(2022年8月12日更新)

当院では全国に先駆けて2021年6月に新型コロナウイルス心臓後遺症専門外来を開設しました。

新型コロナウイルスに感染し、快復した後も動悸や息切れ、胸痛(胸が重苦しい、痛い、圧迫感がある)などの症状が続いている方を対象に、心エコー検査や造影 CT 検査などを活用して、ウイルス感染後の心臓後遺症や狭心症・弁膜症などの有無についてスクリーニングを行い症状の原因を詳しく調べてきました。

これまでに札幌市内をはじめ、北海道内各地や他県の方にもご来院いただき、140名以上の方の診察を行いました。遠方の方には、本来であれば数回受診して検査や診察をするところを可能な限り負担軽減になるように来院回数、入院日数を調整しました。

受診者の平均年齢は約41才で年代別でみると30代が多い結果となりました。

受診者全体を見ますと会社で働いている方が約9割を占めており、なかには休職中で労災申請や傷病手当の申請ができずに悩まれている方もおりました。

当院では保険会社や会社へ提出をするために診断書をご希望の方には、検査結果等を踏まえて医師の判断で作成しております。

また、受診していただいた中で約3割の方に心膜炎や狭心症などがみつかりました。心臓にかかわる病気だけでなく、検査を行っていくなかで甲状腺などの病気をみつけることも多く、その場合は適切な医療機関を紹介しております。

診察をご希望の方は以下の新型コロナウイルス心臓後遺症専門外来ページの予約専用フォームもしくはお電話にて医療相談室宛までお申し込みください。

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※電話受付時間:平日 9時~17時、土曜日 9時~12時 011-563-3911(代表)
※完全予約制となっております。予約外の診察は行っておりません。

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担当医あいさつ

 
1.コロナ後遺症の現状(2022年4月現在)

厚生労働省が2021年12月に公表したコロナ罹患後症状(後遺症)のマネジメントに関する手引きには、かかりつけ医が身体診察や心電図、血液検査などからコロナ関連の心臓後遺症を疑った場合に、循環器専門医を紹介するというフローチャートが掲載されています。

しかし、紹介された循環器専門医がコロナ関連の後遺症についてどのようにして診療したら良いかについては具体的に記載されておらず、その指針は定まっていないのが現状です。

当院では専門外来開設当初から心臓CT検査や心エコー検査、関連施設での心臓MRI検査など画像診断を積極的に活用した診療を行ってきました。特に心臓CT検査は撮像時間が短く,心臓MRI検査と同様に造影剤を併用することで心臓後遺症(心筋障害)を検出でき,さらに合併する狭心症や肺炎、全身の血栓症なども一度に評価できます。コロナに関連して生じる心臓後遺症(心筋炎や心膜炎など)、コロナが原因で悪化する狭心症や弁膜症を見逃さずに診断・治療するには、詳細な問診とこれらの画像診断を駆使する必要があります。

2.コロナ心臓後遺症が見つかった場合には(2022年4月現在)

心膜炎が見つかった場合には、まず3か月程度の薬物治療(非ステロイド抗炎症薬、コルヒチン)を行います。狭心症や弁膜症が見つかった場合には、薬物治療に加えてカテーテル治療や手術治療が必要かどうかを検討します。心筋炎による心臓後遺症が見つかった場合には薬物治療と慎重な経過観察が必要になります。また甲状腺機能異常や女性特有の病気による貧血など、心臓以外に後遺症の原因が見つかることもあるため、その場合には適切な医療機関を紹介し、治療をお願いしています。

このような画像診断を活用したコロナ後遺症診療はオンライン診療では行うことができません。コロナ後遺症として胸痛や息切れでお困りの患者さんは、一度当院へご相談ください。

                         循環器内科 医師 相川 忠夫

 

<メディア・文献掲載情報>
2021年2月10日 相川忠夫医師の症例報告が欧州心臓病学会誌に掲載されました
2021年3月  9日 相川忠夫医師の症例報告が米国心臓核医学会誌に掲載されました。
2021年3月26日 北海道医療新聞「COVID-19罹患後の遅発性心内膜炎を検証」
2021年6月29日 NHKほっとニュース北海道「新型コロナ心臓後遺症外来 札幌の北海道循環器病院が開設」
2021年7月23日 北海道医療新聞「コロナ後遺症専門外来を開設」
2021年8月  6日 相川忠夫医師の症例報告が欧州心臓病学会誌に掲載されました。
2021年8月23日 北海道医療新聞 月刊ケア9月号に新型コロナウイルス心臓後遺症専門外来が掲載されました。
2021年8月30日 産経ニュース(WEB)「新型コロナ感染後遺症 心筋の微小血管に血栓 北海道循環器病院が専門外来」
2021年9月24日 北海道新聞(朝刊)にて、当院の新型コロナウイルス心臓後遺症専門外来が掲載されました。
2021年10月6日 どさんこワイド179(STV)「治ってもなお残る苦しみ コロナ後遺症に特化 札幌の病院に専門外来」
2021年12月20日 循環器内科・相川 忠夫 医師の研究が北海道医療新聞で紹介されました。
2022年3月8日 循環器内科・相川 忠夫 医師の発表が第43回心筋生検研究学術集会でYIA最優秀賞を受賞しました。
2022年3月23日 循環器内科・相川 忠夫 医師が米国心臓病学会(ACC)の特別正会員に選出されました。
2022年4月7日 当院 循環器内科 相川 忠夫 医師の新型コロナウイルス感染後の後遺症に関する臨床研究が『臨床画像3月号』で紹介されました。
2022年7月6日 循環器内科・相川 忠夫 医師の症例報告が日本内科学会英文誌(Internal Medicine)に掲載されました。

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社会医療法人 北海道循環器病院