新型コロナウイルス心臓後遺症専門外来について

図:造影 CT で検出された新型コロナウイルスによる心筋障害の例(矢印)
(Aikawa T, et al. Eur Hear J 2021. [Epub Ahead of Print] 、 Oxford University Press Japan より許諾を得て転載)

2019年末から世界中に拡大した新型コロナウイルス感染症に関して、感染が軽快した後の後遺症(いわゆる Long COVID )に悩む方々が増加しています。その中には、ウイルス感染による心筋障害や心膜炎などの心臓後遺症を起こしていたり、また感染する前には無症状であった狭心症や弁膜症が自覚症状の原因になることもあります。

新型コロナウイルス感染後に心臓後遺症が生じると、将来的に心不全(心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気のこと)を起こす可能性が通常より高まると考えられるために、注意が必要です。

当院では新たに新型コロナウイルス心臓後遺症外来(コロナ心臓後遺症外来)を開設しました。新型コロナウイルス感染が軽快した後も動悸や息切れ、胸痛(胸が重苦しい、痛い、圧迫感がある)などの症状が続いている方を対象に、心エコー検査や造影 CT 検査などを活用して、ウイルス感染後の心臓後遺症や狭心症・弁膜症などの有無について積極的にスクリーニングを行い、症状の原因を詳しく調べます。

治療可能な病気に関しては外来・入院で治療を行います。ウイルス感染による心筋障害(心臓後遺症)に関しては、将来的に心不全を起こす前に早期発見できるよう、病状に応じた経過観察を行います。

対象患者

  • 新型コロナウイルス陽性判定後の治療・療養期間を終了している方
  • 感染が軽快した後も、動悸や息切れ、胸痛(胸が重苦しい、痛い、圧迫感がある)などの胸部症状が続いている方
  • 過去 10 日以内に 37.5 度以上の発熱や風邪症状(せき、たん、鼻水、のどの痛み、頭痛、寒気など)がない方
  • 新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査は行っておりません
  • ワクチン接種後の副反応による症状は当専門外来の対象とはしておりません
    受診を希望される場合はこちらをご確認ください

診察までの流れ

  1. 予約
    医療相談室にて、専門外来の予約を受け付けております。
    予約専用フォームでお申込み クリックすると予約専用フォームへ移動します
    電話でご予約 tel:011 563 3911携帯電話の方はそのままクリックしてください
  2. 検査・診察
    予約日時に来院頂き検査、診察を受けます。
    • 必要に応じて追加検査があると専門医が判断した場合には、別日に再来して頂き追加検査・診察をする場合があります。

各種検査費用について(概算)

当専門外来において多く実施された検査項目と費用の一覧です。
実際の検査は医師の判断で項目と実施日(初診時または再診時など)が決定します。ご自身の自己負担割合を元に参考にしてください。

負担割合別検査概算費用一覧

【2022.01.11】
スマートフォンでご覧の方は、
表を指で左右にスクロールしてご覧ください。
検査名 1割負担(円) 2割負担(円) 3割負担(円)
血液検査(専門外来用) 1,950円 3,910円 5,860円
安静心電図検査 130円 260円 390円
胸部レントゲン検査 290円 570円 860円
心臓超音波(エコー)検査 880円 1,760円 2,640円
冠動脈CT検査 3,200円 6,400円 9,600円
ホルター心電図(24時間)検査 ※1 1,750円 3,500円 5,250円

※ 上記、検査料金のほかに初再診料(900円/3割負担)、処方箋料(210円~500円/3割負担)、その他暖房費(20円/3割負担)・管理料(500円/3割負担 )などの料金がかかる場合があります。また、連携先の医療機関で心臓MRI検査を行う場合は1万円程度(3割負担)の料金がかかります。
※ ご提示した料金はあくまでも一部であり、当日の医師の指示により検査が追加になった場合には別途費用が発生する場合がございます。
※ 検査の実施可否や時期は医師の判断により決定します。

※1 ホルター心電図とは24時間継続して心電図を記録する検査です。そのため病院で機器を貼り付けし、ご帰宅いただきます。

担当医あいさつ

 2021年6月に当院に開設した新型コロナウイルス(COVID-19、以下コロナ)心臓後遺症専門外来では、感染後の後遺症として胸痛や息切れでお困りの患者さんを診察しています。この専門外来にはこれまでに約140人の患者さんが受診され(2022年4月現在)、札幌市内にとどまらず、道内各地や道外からもお越しいただきました。当院の専門外来に受診された方の平均年齢は41歳で、10歳台~70歳台まで幅広い年齢層の方を診察しています。皆さまがスムーズに受診できるように受診予約や事前問診にはメールフォームを活用しています。

コロナ心臓後遺症の現状(2022年4月現在)

 厚生労働省が2021年12月に公表したコロナ罹患後症状(後遺症)のマネジメントに関する手引きには、かかりつけ医が身体診察や心電図、血液検査などからコロナ関連の心臓後遺症を疑った場合に、循環器専門医を紹介するというフローチャートが掲載されています。しかし、紹介された循環器専門医がコロナ関連の後遺症についてどのようにして診療したら良いかについては具体的に記載されておらず、その指針は定まっていないのが現状です。

 当院では専門外来開設当初から心臓CT検査や心エコー検査、関連施設での心臓MRI検査など画像診断を積極的に活用した診療を行ってきました。特に心臓CT検査は撮像時間が短く,心臓MRI検査と同様に造影剤を併用することで心臓後遺症(心筋障害)を検出でき,さらに合併する狭心症や肺炎、全身の血栓症なども一度に評価できます。コロナに関連して生じる心臓後遺症(心筋炎や心膜炎など)、コロナが原因で悪化する狭心症や弁膜症を見逃さずに診断・治療するには、詳細な問診とこれらの画像診断を駆使する必要があります。

コロナ心臓後遺症が見つかった場合には(2022年4月現在)

 心膜炎が見つかった場合には、まず3か月程度の薬物治療(非ステロイド抗炎症薬、コルヒチン)を行います。狭心症や弁膜症が見つかった場合には、薬物治療に加えてカテーテル治療や手術治療が必要かどうかを検討します。心筋炎による心臓後遺症が見つかった場合には薬物治療と慎重な経過観察が必要になります。また甲状腺機能異常や女性特有の病気による貧血など、心臓以外に後遺症の原因が見つかることもあるため、その場合には適切な医療機関を紹介し、治療をお願いしています。

 このような画像診断を活用したコロナ後遺症診療はオンライン診療では行うことができません。コロナ後遺症として胸痛や息切れでお困りの患者さんは、一度当院へご相談ください。

循環器内科 医長 相川忠夫
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