臨床検査科
臨床検査科のご案内

臨床検査科では、心電図(安静および負荷心電図、長時間心電図)、肺機能検査、超音波検査など多種多様な検査を行っています。

検査機器は日々進歩しておりますが、我々技師はこれらの機器を正しく操作し、その能力を最大限に発揮できるよう自己研鑽に努め業務にあたっています。特に循環器専門病院として心電図検査および超音波検査全般に力をいれており、日本超音波医学会をはじめ他の学術団体が認定する資格を積極的に取得するようにしています。

診療技術部臨床検査科

技師長 大野誠子

臨床検査科 理念
  1. 思いやりの心
    患者さん、職員、その他当院を訪れる方々へ思いやりの心を持って接します。
  2. 向上心
    常に知識、技術の向上に努め、毎日の診療に活かします。
資格・認定技師
超音波検査士(循環器領域):日本超音波医学会認定
  • 出田 朗子(1998年4月)
  • 粒来 千春(2012年3月)
  • 大野 誠子(2016年3月)
  • 原口 悠(2017年3月)
  • 松田 麻衣(2018年3月)
  • 田原 静香(2019年3月)
  • 吉岡 美耶(2024年3月)
超音波検査士(消化器領域):日本超音波医学会認定
  • 大野 誠子(2003年3月)
  • 松田 麻衣(2022年3月)
超音波検査士(血管領域):日本超音波医学会認定
  • 粒来 千春(2013年3月)
  • 大野 誠子(2017年3月)
  • 野川 麻美(2024年3月)
血管診療技師:日本血管外科学会、日本脈管学会、日本静脈学会(3学会)認定
  • 出田 朗子(2009年8月)
  • 粒来 千春(2012年1月)
  • 田原 静香(2015年12月)
  • 松田 麻衣(2015年12月)
  • 大野 誠子(2017年10月)
  • 野川 麻美(2018年11月)
JHRS認定心電図専門士:日本不整脈心電学会認定
  • 春木 康伸(2012年10月)
  • 川嶋 春花(2019年1月)
  • 小林 美穂(2019年1月)
脳神経超音波検査士:日本脳神経超音波学会認定
  • 出田 朗子(2011年9月)
心電図検定:日本不整脈心電学会認定
1級(マイスター)
  • 北村 凌一(2022年3月)
1級
  • 春木 康伸(2016年10月)
  • 渡辺 大貴(2023年2月)
  • 田原 静香(2023年2月)
  • 太田 蓮(2024年2月)
2級
  • 小林 美穂(2016年10月)
  • 川嶋 春花(2018年10月)
検査室紹介
心臓超音波検査

当院は最新の心エコー装置GE Healthcare社製Vivid E9TM 1機、VividE95TM 5機、Vivid S70TM 1機(ポータブル用)、PHILIPS社製EPIQ CVx 1機を使用しています。美しい画像記録により、正確な測定結果と心臓血管評価、医師からの多彩なニーズに対応しています。経食道心エコーの3D画像を用いるとさらに詳細な観察が可能です。また画像解析専用ソフトのEchoPAC PCTM5台でさらに詳細な解析を行っています。

検査方法

探触子(プローブ)と呼ばれる超音波の発信機を胸に当て、画面に映し出された心臓の動きを観察します。空気があると超音波が通らないため、プローブと体との間にはゼリーを塗り密着させます。また、肺の中の空気の影響で心臓が見えにくくなることがあり、正確な検査を行うために息をすったり、吐いたり、止めて頂くことがあります。

当院の最新の心エコー装置
GE Healthcare社製
  • VividE9TM:1機
  • VividE95TM:5機(うち3機Ultra Edition)
  • VividS70TM:1機
PHILIPS社製
  • EPIQ CVx:1機
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症例1 心房中隔ポーチ内粘液腫
  • 経胸壁心エコー(TTE)で心房中隔に高輝度構造物が観察された。
  • 経食道心エコー(TEE)で心房中隔ポーチ内に一部高輝度な充実性腫瘍が観察される。
  • 3D-TEE画像で心房中隔内にはまりこむ腫瘍の状態が詳細に観察可能であった。

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症例2 僧帽弁逸脱(後尖P2の逸脱と腱索断裂)

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検査で解る事
  • 弁膜症
  • 心筋症(拡張型、肥大型心筋症など)
  • 心肥大
  • 先天性心疾患(心房、心室中隔欠損症など)
  • 心筋梗塞
  • 心膜炎
  • 心臓腫瘍
  • 心臓内血栓
  • 心不全 など
心エコーカンファレンス

心臓超音波検査室では週に1度、超音波指導医(古堅あずさ医師)と共に症例のカンファレンス(心エコーカンファレンス)を行っています。迷った症例や珍しい症例、注意が必要な症例などを、検査を施行した技師が提示し、医師と他の技師とでディスカッションを行います。心エコーカンファレンスでは超音波画像の見方や考え方だけでなく、CT画像、冠動脈造影といった他検査や血液検査の結果、臨床症状もふまえて考察していきます。また、疾患ごとの経過や予後、超音波検査で見なくてはならない所見などもご指導いただきます。手術適応となった症例は、手術方法や術後の合併症、超音波検査で注意する点なども学びます。各症例に対して多方面から堀下げて考えていくことで、超音波検査室全体のレベルアップを図っています。

2019年10月に、心エコーカンファレンスで学んだ症例をまとめた、「北海道循環器病院の心エコーカンファレンス~私たちが信頼される心エコー技師に変わったワケ~」という本を出版させてもらいました。自施設だけではなく、全国の超音波検査室にもカンファレンスで得た知識を広めたいとの思いから検査に携わる技師がまとめた書籍となります。

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心電図検査室
安静心電図

心電図は、心臓から発生する微小な電気を記録し、不整脈、心筋虚血、心肥大、電解質異常などを診断することができます。

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心電計

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心電図検査

検査方法

ベッドに仰臥位になった患者さんの手首・足首・胸に電極を装着します。ストッキングは足首まで下げ、上着は胸の上まで上げて頂きます。検査時間は約3~5分です。

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正常心電図(洞調律)
脈拍の間隔が一定

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異常心電図(心房細動)
脈拍の間隔が不規則

トレッドミル運動負荷心電図

運動により心臓に負荷をかけ、心筋の酸素需要を増加させて潜在する狭心症を検出するための検査で、心電図や血圧の変化を調べます。運動時に症状がでる労作性狭心症の診断に有用な検査です。

検査方法

胸に電極を付けベルトコンベアの上を歩いて頂きますが、ベルトコンベアの速度と傾斜を変えることにより、負荷量を調節します。安静時・運動中・運動後の心電図と血圧を記録します。検査時間は約20分、そのうち運動時間は約10分です。

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負荷心電図検査

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トレッドミル負荷心電図装置

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負荷前

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負荷中

※狭心症では心電図波形ではSTと呼ばれる部位が変化します。

長時間(24時間)心電図、ホルター心電図

長時間心電図は小型軽量の装置を体につけて長時間(約24時間)の心電図を記録し、不整脈や狭心症の有無を調べます。当院では診断に基づき適切な治療を行っていますが、冠動脈が狭窄したり、閉塞している場合はバルーンカテーテルやステントによる治療、冠動脈バイパス術を、また不整脈の場合にはペースメーカ治療や、カテーテル・アブレーション治療を実施しています。なお、当院のホルター心電図解析センターは、道内の医療機関から解析依頼を受けております。

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ホルター心電図解析センター

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小型・軽量のホルター心電計

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入浴対応型ホルター心電計

検査方法

ホルター心電計は皮膚に電極を貼りますが、かぶれを予防するため皮膚にスプレーをかけた後に装着をします。装着後に、行動記録カード(検査中の行動や症状を記入する用紙)と検査中の注意事項について説明を行いますが、装着も含めて約10分で終了します。

ホルター心電計の返却方法
  1. ホルター心電計をご自身ではずして頂き、宅配便で当院宛てに送って頂く。電極をはずす方法は当院で説明します。
  2. 当院に来院して頂く。

※宅配便を使用する際の費用は当院で負担します。

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胸部に装着された電極

睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が止まり、血液中の酸素濃度が低下する病気の事です。無呼吸には大きく分けて肥満の方に多い閉塞性無呼吸と中枢性無呼吸がありますが、高血圧や不整脈を引き起こす確率が高くなります。また、呼吸が止まるため眠りが浅くなり、日中に居眠りをしたり、交通事故を引き起こす確率が高くなるため、早期に発見し治療することが必要です。検査により無呼吸の種類と回数、血液中の酸素濃度の低下や不整脈の種類と頻度がわかります。

センサーの種類
  • 鼻フローセンサー:鼻・口の気流測定による無呼吸の判定
  • SpO2センサー:血液中の酸素濃度の測定
  • 呼吸運動(腹部)センサー:無呼吸の種類の判定
  • 体位センサー:仰向けや横向きなどの体位の判定
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検査方法

当院では、呼吸運動と体位センサーに加えてホルター心電図の装着も同時に行います。ホルター心電図は当院で装着し、鼻フローセンサーは就寝前にご自身で装着して頂きます。検査時間は、ホルター心電図の装着時間が約10分、センサーの装着方法の説明が約15分で合計約25分です。

多目的検査室
眼底検査

眼底写真により白内障、眼底出血、高血圧・糖尿病による血管病変や網膜の異常がわかります。また、眼圧の測定により緑内障を診断することができます。

検査方法

検査方法は椅子に座り、装置に顎をのせて、レンズの中に見える光を両目で見て頂き眼底写真を撮影します。フラッシュを使用しますので、少し目がチカチカしますが、すぐに治ります。検査時間は約3分です。

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眼底カメラ

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正常の眼底写真

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白内障の眼底写真

肺機能検査

肺機能検査は肺の容積や、空気を出し入れする換気機能を調べる検査ですが、これにより間質性肺炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患などを診断することができます。

慢性閉塞性肺疾患には禁煙が有効

喫煙は気流制限を引き起こして肺機能の低下を促進させる主要な危険因子ですので、禁煙により肺機能の低下を防止する事が出来ます(図)。

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Fletcher C , Peto R ;The natural history of chronic airflow obstruction ,BMJ 1 , P1645-1648 , 1977より引用一部改変

「いまさら禁煙しても遅い」と思う人が多いようですが、図からわかるように、高齢になってからでも、禁煙により肺機能の低下を遅らせることができます。当院では禁煙外来を行っていますので、お気軽にご相談下さい。 divi06_img22.jpg

肺機能検査

検査方法

椅子に座わり、鼻栓をして、筒をくわえて検査を行います。検査技師の指示に従って、口で呼吸をして頂きます。検査時間は約5分です。

肺年齢

実際の計測値により計算し健常な同性、同年代の人と比較した肺年齢と実年齢の乖離から、肺の健康状態を把握してもらうために提唱されたものです。自分で肺年齢を把握する事で、肺の健康維持、病気の予防、早期発見につながります。

血圧脈波検査

四肢の血圧を測定し、心臓足首血管指数(CAVI)と足関節上肢血圧比(ABI)という2つの指標から、動脈の硬さや狭窄の程度を調べる検査です。動脈硬化は、自覚症状のないまま進行し、心疾患や脳血管疾患などの原因となるため、早期発見が重要です。CAVI:血圧に依存しない血管固有の硬さを簡便に測定できる動脈硬化(動脈の硬さ)の程度を表す指数です。同年齢の平均値と比べることで、おおよその血管年齢がわかります。

ABI:足の動脈の狭窄や閉塞の程度を表す指標です。

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血圧脈波測定器

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血圧脈波検査

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レポート

腹部血管エコー室

超音波で肝臓、胆嚢、胆管、腎臓、膵臓、脾臓、腹部大動脈などを観察します。放射線を使用しないので、被ばくの心配がなく安心して何度でも受けられます。

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超音波検査装置 Logic S8

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実際の画像

検査方法

検査は、当日の朝食を抜いて行います。検査中は、お腹を膨らませたり、へこませたり、検査部位によっては横向きや座った姿勢で行います。検査時間は部位によって異なりますが約10~20分です。

検査で解る事
  • 肝臓癌
  • 肝血管腫
  • 肝硬変
  • 肝嚢胞
  • 脂肪肝
  • 胆石
  • 胆嚢ポリープ
  • 胆嚢癌
  • 膵炎
  • 腎結石
  • 腎嚢胞
  • 腎血管筋脂肪腫
  • 腎臓癌
  • 腹部大動脈瘤など
血管超音波検査
頸動脈超音波検査

頸動脈壁の肥厚、プラークおよび内腔の狭窄の有無を調べ、動脈硬化の程度を評価します。検査時間は約15分です。

下肢静脈超音波検査

主に深部静脈血栓症の有無や、静脈瘤の程度を調べる検査ですが、当院では静脈瘤に対するレーザー治療を行っていますので、超音波検査で治療部位を決めたり術後の経過観察も行っています。レーザー治療後の部位には血流シグナルが無い事が確認できます(図の赤矢印)。

検査時間は約20~30分です。

腎動脈超音波検査

腎動脈の血流速度から、腎動脈狭窄の有無を調べる検査です。腎動脈狭窄は頸動脈狭窄や心血管疾患に合併する事が多いと言われています。

検査時間は約15分です。

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頸動脈(血流評価)

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下肢の静脈瘤に対するレーザー治療後

皮膚潅流圧の検査
皮膚レベルの微小循環を調べる検査です。下肢虚血の重症度評価や難治性潰瘍の治癒予測、四肢切断部位の決定、カテーテル治療やバイパス手術など血行再建術後の評価に有用です。 divi06_img30.jpg

皮膚潅流圧検査装置

検査方法

測定部位にセンサーのついたカフを巻き、カフに空気を入れて加圧し、一旦血流を止め、徐々に空気を抜いて減圧し血流が再び潅流する時の圧を測定します。血圧測定よりもカフの圧迫は弱いので一般的に痛みのない検査ですが、虚血が高度の場合には痛む場合があります。検査時間は一測定部位につき約5分です。

輸血管理室

輸血とは、病気や出血で血液成分が減少した場合に、不足した成分を補充する治療法です。臨床検査科では輸血前に行う検査や血液製剤の管理を担当しています。輸血検査により不適合輸血や輸血による副作用を防止することができます。

検査項目
  1. 血液型検査(ABO・Rh):患者さんの血液型を判定します。
  2. 不規則抗体検査:不規則抗体とはABO血液型以外の血液型に対する抗体で、副作用を起こす可能性のある抗体の有無を検査します。
  3. 交差適合試験:患者さんの血液と輸血用血液が適合するかを調べ、輸血による副作用を未然に防止する検査です。