下肢静脈瘤専門外来
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下肢静脈瘤専門外来について

当院では、下肢静脈瘤に対してレーザー治療、ストリッピング手術、硬化療法、静脈瘤切除術をおこなっております。経験豊富な心臓血管外科の専門医が在籍しており、局所麻酔による、日帰り手術から、1泊2日、2泊3日の入院治療まで患者さんの全身状態、下肢静脈瘤の重症度によって治療法を決めております。下肢の超音波(エコー)検査、血液検査、医師による診察後に最適な治療方法を決定いたします。

下肢静脈瘤とは?

下肢の静脈には足先から心臓に戻る血液が重力によって逆流しないようにする静脈弁があります。下肢静脈瘤は、その弁が壊れて血液が逆流し、下肢の静脈内に血液が溜って、血管がコブ状に膨らんでしまう病気です。

壊れた静脈弁は自然に治ることはありません。下肢がだるい、むくむなどの初期の症状から始まり、静脈が瘤状に目立ってくる、夜中に足がつる、かゆくなる、やがて皮膚の色素沈着や潰瘍(かいよう)にまでなります。だるい、むくみといった日常的な症状は、下肢に血液が溜まったために生じます。

正常な静脈と弁が壊れて静脈瘤となったイメージ

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下肢静脈瘤の発症は、中高年の女性に多く、長時間におよぶ立ち仕事をする方や、肥満の方などに多いことが分かっています。また、家族性に発生することも多く、何らかの遺伝的素因がある可能性も示唆されています。

下肢静脈瘤の種類
伏在型静脈瘤
kashi_img02.jpg 皮膚に近い静脈が浮き出て血管が太くなり、コブ状になった状態です。足の付け根の静脈弁が壊れた大伏在静脈瘤とひざ裏の静脈弁が壊れてふくらはぎに症状が現われる小伏在静脈瘤に分けられます。いずれも静脈の直径が4㎜以上になり太くなった状態の静脈瘤です。
側枝型静脈瘤
kashi_img03.jpg 伏在静脈瘤から枝分かれした、やや細い血管が浮き出た状態になる静脈瘤です。血管のコブは2~3㎜に拡張していますが伏在型静脈瘤と比較すると小さい静脈瘤です。
網目状静脈瘤
kashi_img04.jpg 青く細い血管が見えることが特徴です。皮膚の表面にある静脈が蛇行しています。
クモの巣状静脈瘤
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画像:© Integral Corp.

赤く細い血管がクモの巣のように皮膚に広がって見えます。クモの巣状静脈瘤が進行して伏在型静脈瘤になることはありません。
下肢静脈瘤が疑われる症状
  • ふくらはぎがつる(こむら返り)
  • 足が痛い、重い、だるい
  • むくみがでる
  • 足の静脈が浮き出ている
  • 足がかゆくなる
  • 皮膚の色が黒ずむ
  • 足の皮膚に潰瘍ができる

症状は下肢静脈瘤以外の病気(静脈血栓症・リンパ浮腫や変形性関節症等の整形外科的疾患等)により生じることもあります。

検査方法について
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下肢静脈超音波検査:ゼリーを付けて体表面からプローブを当てて静脈瘤があるかないか、血液の流れを観察します。足のつけ根からくるぶしまで、立った状態で検査します。

超音波検査なので痛くないのでご安心下さい。

※しっかりと検査を行うためにショートパンツ(診察室に用意してあります)に着替えていただく場合もあります。検査当日はできるだけ足が見やすい服装で受診してください。

治療法(下肢静脈瘤血管内レーザー術)について

当院では1981年の開設以来、下肢静脈瘤に対して主として、静脈瘤となった静脈を結紮する「高位結紮術(こういけっさつじゅつ)」や静脈瘤化した静脈を下肢から抜去する「ストリッピング手術」を行ってきましたが、最新の治療法である下肢静脈瘤血管内焼灼術(レーザー手術)を2016年から行うことにより、術後の痛みや皮下出血が少なく、患者さんに喜ばれています。

高位結紮術 大腿部の皮下で静脈瘤化した静脈を結紮し、血液の逆流を食い止める手術ですが、新しい治療法の開発にともない現在では実施件数は少なくなっています。
ストリッピング手術 静脈瘤化した静脈の中に細い針金(ワイヤー)を入れてワイヤーごと静脈を抜去する方法です。全身麻酔や脊椎麻酔で行われるため入院が必要で、血管内レーザー治療に比べて手術後の痛みや腫れ、皮下出血を伴うことがあります。
血管内レーザー治療 細いカテーテルを静脈内へ挿入し、静脈瘤化した静脈の内腔をレーザーで照射し閉塞する治療方法です。照射された静脈は固く縮み、治療後半年ぐらいで体内に吸収されてなくなります。局所麻酔で細いカテーテルを静脈内へ挿入して行う低侵襲治療のため、手術後は歩いて帰宅できます。

下肢静脈瘤内焼灼術(レーザー手術)の実績

当院での下肢静脈瘤に対する血管内レーザー治療は、2012年6月より開始し、治療実績は1,000例を超えております。

下肢静脈瘤に対する治療費用
下肢静脈瘤血管内焼灼術(レーザー)・大伏在静脈抜去術(ストリッピング)
期間 本人の負担割合 概算治療費 対象の要件
日帰り 1割 およそ1.2万円 75歳以上の方で健康保険を使用される場合
2割 およそ2.4万円 70歳以上の方で健康保険を使用される場合
3割 およそ3.6万円 70歳未満の方で健康保険を使用される場合
1泊2日 1割 およそ1.8万円 75歳以上の方で健康保険を使用される場合
2割 およそ3.6万円 70歳以上の方で健康保険を使用される場合
3割 およそ5.4万円 70歳未満の方で健康保険を使用される場合
2泊3日 1割 およそ2万円 75歳以上の方で健康保険を使用される場合
2割 およそ4万円 70歳以上の方で健康保険を使用される場合
3割 およそ6万円 70歳未満の方で健康保険を使用される場合
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※片足治療の料金です

※食事代、個室代は別途必要になります。

※各種公費保険により異なる場合があります。

※高額療養費制度についてご質問がある場合は医療相談室にご相談ください。

治療の流れ
1.ご予約

医療相談室で予約を受け付けております。予約受付フォームやお電話でお申し込みください。

※専門外来は月曜日の午後に行っております。

電話でご予約

tel:011-563-3911

予約専用フォーム
2.診察・検査

下肢の超音波(エコー)検査、患者さんによってはその他必要な検査を行った後で専門医が診察します。診察時に病状の説明を受けて、治療が必要な場合は治療法、手術日を医師と相談します。

3.手術当日

日帰り手術の場合は午前中に来院いただき、治療を行います。治療時間は30~60分です。術後は包帯と弾性ストッキングを着用していただきます。局所麻酔のため、手術後からすぐに歩くことができます。帰宅後は日常生活動作に制限はありませんが、激しい運動や車の運転は避けてください。

入院治療の場合は手術後、1泊していただき、翌日、下肢静脈エコー検査後に、医師の診察を受けて、退院していただきます。

4.定期外来受診

退院後、約1週間後に外来を受診していただき、下肢の超音波(エコー)検査後、医師の診察を受け、検査で異常がない場合はその後の通院は不要です。医師の判断によっては、その後の外来通院が必要な場合もあります。

専門医あいさつ
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下肢静脈瘤は日本では、成人の10~30%に発症するといわれており、決して稀な病気ではありません。命に関わるような病気ではありませんが、足のむくみ、だるさ等の症状で日常生活に支障をきたすことや、悪化すると、皮膚の潰瘍になることもあります。下肢静脈瘤の患者さんを診察してまいりましたが、長年、足の静脈瘤に気付きながら、放置し、重症化してから、来院される方もおり、もっと早く治療していればと思うことがあります。現在、下肢静脈瘤の治療は局所麻酔で行うことができ、初期であれば手術時間も20~30分で終わり、体への負担も少なく、高齢の方でも治療可能です。足の静脈瘤が気になる方はぜひ御相談ください。

心臓血管外科 外科部長

診療技術部 部長

大堀 俊介