高周波カテーテルアブレーション実績

その他の治療

心房性不整脈治療の適応基準

 心房性不整脈には、様々な種類があり心房細動もその1つですが、その他に頻度の高い不整脈の代表としてWPW症候群や房室結節回帰性頻拍(AVNRT)、心房粗動があります。今日のWPW症候群、AVNRT、心房粗動に対するアブレーションに関しては、治療成績が極めて良好で、再発率および合併症が低いので、症状があり、生活の質(QOL)が低下している場合には、患者さんが希望すれば治療を行った方が良いということになっております。

回帰性(リエントリー)頻拍

 頻脈性不整脈の原因で一番多いのは回帰性(リエントリー)と呼ばれるものです。リエントリー性不整脈は心筋組織内に異常な電気回路(リエントリー回路)が生じて、何らかの原因でリエントリー回路を興奮が旋回し続ける状態の事です。そのため、治療はリエントリー回路となっている異常な心筋組織を焼灼する事で根治が可能となります。

WPW症候群

 WPW症候群とはケント束という副伝導路が先天的に存在し、正常伝導路以外に心房と心室を直接、電気的に連絡します。このケント束により様々な不整脈が起こります(図6)。

 WPW症候群に対するアブレーションの成功率は非常に高く、再発率および合併症発生率は0.5~2.0%程度と言われており、薬物療法による副作用の発生率に比べても有意に低い値です。

a)異常な副伝導路と正常伝導路をリエントリー回路として興奮が旋回するのが房室回帰性頻拍です。

b)副伝導路が存在する人に心房細動が合併すると、心室頻拍様の不整脈となり、稀に心室細動(死に至る不整脈)となる場合があります。

c)治療は副伝導路をアブレーション用カテーテルで焼灼します。

図6:WPW症候群における興奮の伝導様式と治療

 

房室結節回帰性頻拍(AVNRT)

 AVNRTは房室結節内に伝導速度の速い速伝導路(ファスト・パスウェイ)と伝導速度の遅い遅伝導路(スロー・パスウェイ)が存在し、この2つの伝導路を興奮が旋回するリエントリー性不整脈です(図7-a)。治療は、速伝導路を焼灼すると高確率で完全房室ブロックという合併症が起きてペースメーカの埋め込みが必要となるため、遅伝導路を焼灼します(図7-b)。また、遅伝導路と速伝導路は近いため、遅伝導路を焼灼する際にも速伝導路が焼灼されないように、当院では医師と熟練された技師が心内心電図などで監視を行いながら、注意深く治療を行っています。

a)伝導が遅い遅伝導路と伝導が速い速伝導路をリエントリー回路として興奮が旋回するのが房室結節回帰性頻拍です。

b)遅伝導路を焼灼する際には、遅伝導路と速伝導路が近いため焼灼には注意が必要です。

図7:房室結節回帰性頻拍(AVNRT)における興奮の伝導様式と治療

 

心房粗動

 通常の心房粗動は右心房と右心室の間にある三尖弁を興奮が旋回するリエントリー性不整脈です(図8-a)。この興奮は1分間に約300回も旋回し、この興奮が心室へ伝わる比が2:1であれば心拍数が約150回、3:1であれば100回の心拍数となり動悸などの症状が出現します。治療は三尖弁の弁輪から下大静脈までの解剖学的峡部と言われる部分を線上に焼灼する事で根治が可能です(図8-b)。

a)心房粗動の伝導様式をあらわしており、右心房と右心室の間にある三尖弁輪を1分間に約300回も興奮が旋回します。

b)三尖弁輪と下大静脈との間の解剖学的峡部を線上焼灼している図です。

図8:心房粗動における興奮の伝導様式と治療

看護師・研修医・臨床工学技士のための
「カテーテルアブレーションの治療とケア」
~「むずかしい」が「おもしろい」に変わる~

監修:天理よろづ相談所病院 中川 義久
編著:天理よろづ相談所病院 貝谷 和昭
   北海道循環器病院   臨床検査科技師長 柴田 正慶

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